鯨をとりにいく。

要潤から手紙が来た。
「また今度いっしょに鯨をとりに行きましょう」というお誘いの手紙だ。
以前、一度彼を連れて行ったことがある。うちの実家では毎年夏になると一家そろって海に鯨をとりにいく。家族4人でトヨタカロータぐらいの大きさの船に乗ってドンドコドンドコ沖へ漕いでゆく。


 母   父


 姉   俺


という感じで船に乗り、4人でオールを漕ぐ。1人でもサボると無事に岸に帰れなくなるので、皆それぞれには必死である。
頃合いの沖に来ると、手頃な大きさの鯨がプシュープシューと潮を吹いてたくさん泳いでるので、それを見た父は何かよく分からない感じで海の中にグルッと潜って、近くにいた鯨の胴体にロープを巻き付けて船に戻ってくる。いつもこの作業が一瞬なのである。父はいつもこれをやったあとに僕らに自慢する。「ハハハ、修平、お前にはできんだろう、ハハハハ」と。全然羨ましくない。母は母で「鯨ってこんなに簡単にとれるのね〜」なんて呑気なことを毎回言っている。とれた鯨はたいていみんな携帯ストラップにしている。

要潤は今年この行事に参加したいらしい。何を考えてるんだろう。そこまでして5人乗りしたいのだろうか。そんなことよりも何でお前の名字は「要」なんだ。